Wednesday, June 9, 2010

先週の台北

5月31日(月)〜6月5日(土)、国立政治大学伝播学院数位内容学科との国際共同ワークショップImaginAsiaの参加のために台北へ。当ディジタルコンテンツ系の同僚、管啓次郎さん、院生13名と。全行程は以下のとおりです。

http://excellence.comm.nccu.edu.tw/01_news_detail.php?sn=195

すでに管さんからいつもながら的確に速報されています。

http://monpaysnatal.blogspot.com/2010/06/blog-post_04.html

旧台湾神社へ至るかつての参道である中山北路を当地の建築家・研究者のガイドに拠って、ゆっくり歩いた経験は得難いものでした。院生たちの映像制作のワークショップは、この一本道を基軸とする「地図」と歩行経験を手がかりに行われました。

旅程の間はほぼ雨降りで映画を観るには最高の街のコンディション。ホウ・シャオシェンが理事長を務める映画館+ギャラリー、カフェの台北光點(SPOT)を訪れ、久しぶりに劇場で映画を観る。Stéphane Brizé監督のMademoiselle Chambonというベタなメロドラマ。息子との小学校の担任教師と恋に落ちる、労働者階級の男の話。クライマックスでは駅で待つ女教師と、駆け落ちをしようとする寸前で思いとどまり帰宅する、みたいな紋切り型の展開に、とても2009年製作の映画とは思えない。一方、作画的な洗練ぶりと役者たちの演技の技巧や情熱が生み出す凄まじいリアリティは、その説話論的な形骸とあまりに釣り合わない。もしくはメロドラマの自己目的化か。むかし観たAndré Téchiné監督のHôtel des Amériques(1981)を思い出した。絶対に傑作ではありえないがなぜか忘れることのできない類の映画。キーはたぶん役者の演技の異様な強度。Hôtel des Amériquesは、完成後ほどなく主演男優の自死した不幸な映画、そして(私には)Catherine Deneuveの出演した最良の映画。