Saturday, January 19, 2019

生命論的に開かれた〈未成の自己完結力〉

言語に代わる等価物が唯一あるとすれば、症例シュレーバーを襲った幻聴という「聴覚映像」以外にはない。むろん映像というタームに惑わされないことだ。言語を有しない種や無機物にもすんでのところで「ない」とはいえない聴覚映像。それを無意識と呼ぶことはできない。無意識とは「抑圧されたものの回帰」であって、どうかした拍子に回帰するとされるのは、それがかつて抑圧された残渣だからである。聴覚映像とは抑圧でも回帰でも、非選択の強度でもない。では何なのか。フロイトに準ずるなら「前意識」に限りなく近いものだろう。それは言語=意識の足下にある裂隙の換喩(metonymy)であり、沈殿しきることのない上澄み/エスキス(esquisse)のごときものだ。前意識は単に意識と無意識を架橋する心的装置内の動的な中間過程を意味しない。むしろそれは言語の根源的な原基であって、健常・病的を問わず、たえず現存を脅かす「死の欲動」の換喩でもあるのだが、ここでも「死」の一語を過剰評価してはなるまい。それは「生の欲動」を凌駕する生命論的に開かれた〈未成の自己完結力〉であり、いわば裂け目それ自体ともいえるからである。帰巣本能さながら心的世界の源流へと、本来の生地=死地たる無機物世界へ巡航する「死の欲動」を、もはや古典力学上のメカニックなものということはできない。
豊島重之「フロイト、または、症例としての未来」(2012年)

Thursday, January 17, 2019

丁楠展 自然のメカニズム@表参道画廊・MUSEE F

当研究室の孫沛艾君の企画による、中国の現代美術作家・丁楠氏の個展が1月21日(月)より、表参道画廊・MUSEE Fで開催されます。科学技術、自然、さらには歴史を参照しながら、あくまでも新たな「物」の提示を試みる、刺激的な展観となります。1月28日(月)には明治大学中野キャンパスで作家の講演も予定されています。ぜひお越しいただければ幸いです。詳細は以下をご覧下さい。

Tuesday, January 15, 2019

写真批評の通路

1月29日(火)三鷹・SCOOLで、二つの批評誌『エクリヲ』と『パンのパン』が写真特集号をそれぞれ刊行したのを記念して、松房子さん、きりとりめでるさんと鼎談を行います。事前予約が必要とのことです。詳しくは以下をご覧下さい。
http://ecrito.fever.jp/20190104211653


Monday, January 14, 2019

記録集 新・今日の作家展2018

昨秋、横浜市民ギャラリーで行われた阪田清子さんとの対談が、記録集に採録されました。

阪田清子・倉石信乃「対談「舟と橋、想像力について」」(構成:大塚真弓)、横浜市市民ギャラリー編集・発行『新・今日の作家展2018 定点なき視点 関連イベント記録集』2018年、n.p.

Tuesday, January 8, 2019

写真と「創造」 ―シェリー・レヴィーン《After Walker Evans》をめぐって

すでに定員に達しキャンセル待ちとなっていますが、1月12日(土)16時から18時30分まで、シェリー・レヴィーンをめぐるトーク・セッションがあり、橋本一径さんの講演に続く討議のパートに参加します。北島敬三WORKSHOP写真塾の公開講座として行われるものです。詳しくは以下をご覧下さい。

Sunday, December 9, 2018

松江泰治ハンドブック

広島市現代美術館で開催中の個展「松江泰治 地名事典」に併せて出版された以下の書籍に寄稿しました。

「測量の位置—松江泰治、現在までの写真」松江泰治『松江泰治ハンドブック』ELF、2018年、162-167頁。【英訳:Shino Kuraishi, "Surveying Position: Taiji Matsue's Photographs to the Present," Taiji Matsue, TAIJI MATSUE Handbook(Tokyo: ELF, 2018), 168-176.

展覧会は来年2月24日(日)まで。
https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/taiji_matsue/

都内でも個展が開催中です。
http://www.taronasugallery.com/exhibition/current/

Wednesday, December 5, 2018

現代詩手帖12月号/現代詩年鑑2019、書評のいくつか

『現代詩手帖』12月号/現代詩年鑑2019に、詩集『使い』から一篇が掲載されました。
「KIOSK」、『現代詩手帖』2018年12月号、236-239頁。

同誌の「2018総展望」のうち、浜田優氏が詩集を論じて下さいました。「アンケート 今年の収穫」でも、阿部嘉昭、カニエ・ナハ、季村敏夫各氏に言及していただきました。阿部氏にはブログでも批評して下さっています。

また、建畠晢氏による書評が次の雑誌に掲載されました。
建畠晢「伝わらない言葉を伝えよ 倉石信乃詩集『使い』」『妃』第20号、2018年9月、166-167頁。

次の月評の中でも取り上げていただきました。
川口晴美氏による「月評 詩はいかが」のうち、『東京新聞』夕刊、2018年10月6日、7頁。

峯澤典子氏による「詩書月評 夢遊のポエジーと戦慄のヴィジョンと」のうち、『現代詩手帖』2018年9月号、162-165 頁。