Monday, August 18, 2008

DOG+TOWN

8月7日、横浜から多摩へ引っ越しをする。引っ越しのあいだ、西山英彰のとてもノスタルジックな写真集『触れない光 Yokohama・Yokosuka1994-95』を見つけた。よく知っている近所の風景の細部が含まれているという、ただその理由のために執着してしまう。久保山のバス停を降りて三春台への階段を上がる途中の煉瓦壁に白く書かれた落書きの写真のことだ。「O」を共有して十字形にDOGとTOWNが交叉する。それは20数年間見つづけてきたが全然消えなかった。

夏の旅2 札幌

8月11-12日、久しぶりに北海道へ行った。露口啓二さんの写真展(8月11-18日)を見に行き、トーク・イベントに参加するため。このメイン・イベントの前後に、北大付属図書館北方資料室、旧札幌神社(北海道神宮)、イサムノグチ設計のモエレ沼公園、北海道立開拓記念館、北海道立文学館の吉増剛造展、北海道立近代美術館のレオナール・フジタ展をそれぞれ見た。ゼミ旅行を兼ねたので、DC系から北村昂陽、大塚真弓、伊藤貴弘(教養D)、そして1日目まで宇野澤昌樹がそれぞれ参加。充実した旅だった。
露口さんの写真展は、地名、ミズノチズ、On-沙流川という三つのシリーズによって構成された。いずれも北海道の歴史と現在を注意深く見つめようとする。対話の中で、露口さんがジャン=マルク・ビュスタモントへの関心について触れられたのが印象に残った。ビュスタモントは現代の風景を考える上では指標的なアーティストだが、中性的な距離を保つことが不可能な場所においてビュスタモント的な慎重な注視者であろうとすることの倒錯を、露口啓二は自覚的に生きようし、その矛盾を引き受けている、そのように考えたいと思った。このような貴重な機会を設け、素晴らしく巨大な印刷物『アフンルパル通信ex.1』を刊行した吉成秀夫さんに敬意を表したい。画像を大きく載せたいという純粋な欲求が常識的なポータビリティを凌駕している。そういうことが肝心だ。肝心なことが長く続いていきますように。ここには、DC系の管啓次郎さん、宇野澤くん、そして私も寄稿しています(「平坦な条里に抗して−露口啓二「ミズノチズ」について)。またこの展覧会の開催のきっかけを作って下さり(露口さんの仕事を吉成さんに紹介したのは吉増先生だった)、イベントの冒頭でわれわれを鼓舞するスピーチをして下さった吉増剛造先生に感謝を。展覧会についての詳細なレポートはまた以下をご覧下さい。

http://www.fremen.biz/contents/modules/blogt/
http://diary.camenosima.com/

夏の旅1 八戸

八戸市立美術館で開催中(〜24日)のICANOF第8回企画展「68-72*世界革命*展」に短い映像作品「TSUKAI」を出品した。須山悠里さんとの共同制作で、おそらく来年になると思うが、シアター・カンパニーARICAの新作公演のために書きつつある同名のテキストを映像と組み合わせたもの。現段階での完成版のテキストは、北海道の目覚ましい古書店「書肆吉成」の発行する『アフンルパル通信』第5号に掲載している。
7月25日(金)・26日(土)のオープニング・プログラムに参加し、68-72年をテーマとする、稲川方人、平倉圭、大島洋、絓(すが)秀実各氏のレクチャーを聴くことができた。いずれも充実した内容で時間が足りない ! 絓氏による近年の岡本太郎および70年万博再評価あるいは再考についての端的な批判に見られるように、この集いも展覧会もおよそ郷愁とはかけ離れたところで成立していたのが良かった。