Thursday, May 22, 2008

ティルマンスと風景、メモ

いつもすべきこと、新たにすべきことが待ちかまえ、ほんとうはもうしていなければならないことに急き立てられて暮らしているけれど、助成金をもらっていたある財団への論文提出がようやく終わったし天気も良かったので、昨日は見なければならないと思っていた個展のうちの半分ぐらいを見に出かけた。清澄白河の小山登美夫ギャラリーで川島秀明(絵画)、同じビルのタカイシイギャラリーで畠山直哉(写真)、中野へ移動してギャラリー冬青で原美樹子(写真)、初台のワコウ・ワークス・オヴ・アートでヴォルフガング・ティルマンス(写真)。いっぺんに多くを登録することが困難な目と脳に負荷がかかりすぎた。ティルマンスの写真はいつも、風景の所有とコレクションに関わる。(色面の印画紙の抽象作品も風景に見える)。だから、ほんとうはおそろしく典型的に「モダン」な制度に拘束されているはずなのだが、それに対する自己言及が付加され、しかも所有とコレクションを他所へ向けてリリースしようとする(それは擬態であるか否か?)。つかのまの保持だから写真という媒材が選ばれるのか。しかし分厚い西洋の視覚表現の歴史のなかに、一見、融通無碍なたたずまいのアーティストがいることは確からしく思えた。