Tuesday, December 4, 2007

『遊歩のグラフィスム』書評

12月2日(日)東京新聞朝刊の読書欄に、平出隆著『遊歩のグラフィスム』の書評を書きました。

http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2007120201.html

平出さんはいまの日本で最も端正なコトバを操る詩人の一人ですが、この本は俳人・歌人の正岡子規、美術家の河原温、小説家の川崎長太郎、ドイツの文芸批評家・思想家のベンヤミンといった東西のジャンルの異なる文章や視覚的な表現を、「遊歩」していく本です。一言では要約しにくいタイプの哲学的なエッセーで、平出さん自身の来し方や日常生活も綴られていて、気軽に手に取れるけれども奥行きが深くなっています。著者が、たんなる相互交流や余興のたぐいとは異なるかたちで、文学と美術の中間領域を押し広げてみようとしているところに、たいへん共感しました。また個人的には子規について少しきちんと読んで考えたくなりました。