Wednesday, May 26, 2010

フェリックス・ティオリエ、世田谷美術館

5月22日(土)世田谷美術館で開催中のフェリックス・ティオリエ展を見る。とても充実した写真展。コローを敬愛したティオリエの写真はたしかにバルビゾン派を彷彿とさせる絵画的なもの。一方、特に地方の農業と炭鉱の風景とそこに生きる人々の労働を主題にする点、その描き方にも注目する。明確に郷土誌的な資料制作の企図を持つ。同じ19世紀末から20世紀初頭に首都を中心に撮影したアジェと好対照で、この時代のフランス写真についての認識の地図に改訂を促される。リュミエールの顧客だったので、美しいオートクロームも見られる。

ちなみにこの企画は、かつて机を並べて一緒に仕事をした、元同僚の波多野啓子さん(現・はたのファインアーツ代表)の尽力で、粘り強く遺族と交渉するなどして10数年がかりで実現した。けっして派手とはいえない企画が、個人の情熱の集積に支えられつつ、結実していくのを見るのはうれしいことだ。

http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
来年にはオルセーで回顧展が予定されているという。図録・広報・会場の文字まわりのデザインは近藤一弥さんで、ティオリエを理解するための見事な助けになっている。

Thursday, May 20, 2010

今日の写真2010 第6回

「今日の写真2010」、『アサヒカメラ』2010年6月号(183-187頁)。第6回目のゲストはスイスで少部数のZINEの出版を手がけているNieves代表のベンジャミン・サマホルダーさん。Linus Bills、Harmony Korine、Anders Edstrom、黒田光一、森山大道、高橋宗正、永禮賢、KiKi、河井美咲、『通学路』のシリーズの写真集などが話題に。150部のZINEをたくさん作って世界にばらまくという考えが面白い。

http://www.nieves.ch/

Wednesday, May 19, 2010

佐原宏臣写真展 何らかの煙の影響

私の企画した展覧会が月末から始まります。写真月間に併せて開催される、
表参道画廊での企画展で、今年で3回目です。ぜひご高覧下さい。

佐原宏臣写真展「何らかの煙の影響」は、2003年から2009年までの約7年間に亡くなった7人の親族の葬儀とその周辺をていねいに記録したものです。また、伯父の言動に焦点を当てながら、地方で営まれる法事の実際を見つめた、新作の短編映画「sakichi」(2010年、DVD、カラー、35分)を併せて上映します。また展覧会に併せて刊行された以下の出版物に寄稿しています。

佐原宏臣写真展「何らかの煙の影響」
会期=2010年5月31日[日]-6月12日[土]
会場=表参道画廊
企画=倉石信乃(写真評論家・明治大学准教授)

出版物
「親族のいる状態−佐原宏臣の写真と映画」、『佐原宏臣写真展 何らかの煙の影響』小冊子、2010年6月、n.p.

http://www.omotesando-garo.com/link.10/sahara.html

表参道画廊 東京都渋谷区神宮前4-17-3
アーク・アトリウム B02
TEL/FAX:03・5775・2469
E-mail: info@omotesando-garo.com

佐原宏臣(さはら ひろおみ)略歴

1973年 静岡県湖西市生まれ。
1995年 東京造形大学造形学部デザイン学科・写真専攻在学中、写真同人誌『回転』を同級生の森本美絵と刊行(翌96年に4号で休刊)。
1997年 大学を卒業。初めての個展「悲しみの風景 variations on the misery」(卒業制作展・東京造形大学)開催。毎日新聞社出版局クロニクル編集部でアシスタントとなり、『20世紀年表』などの書籍編集に携わる(翌98年まで)。
1998年 アルバム制作会社に営業カメラマンとして就職、主に学校行事を撮影する(2007年まで)。
2000年 個展「何らかの煙の影響」開催(東京・ガレリアQ)
2007年 アルバム制作会社を退職。以後も写真・映像制作を続ける傍ら、写真集の企画・編集や、写真展および映画に関わる広報印刷物のデザイン制作を手がける。
2010年 グループ展「この壁を飾るのは誰、この台上を埋めるのは君」(ビジュアルアーツギャラリー・東京)に参加。個展「何らかの煙の影響」開催(東京・サードディストリクトギャラリー)。現在、東京在住。

Saturday, April 17, 2010

今日の写真2010 第5回

「今日の写真2010」、『アサヒカメラ』2010年5月号(183-187頁)。第5回目のゲストは美術家の森村泰昌さん。東京都写真美術館で開催中の森村さんの展覧会「なにものかへのレクイエム」を中心に、志賀理江子、米田知子、太田順一の写真などが話題に。

Saturday, April 3, 2010

VIA MEDIA

ディジタルコンテンツ系の論集『VIA MEDIA』が完成しました。

私はARICAの1月のインド公演について寄稿しました。ツアーに同道しておられた宮本隆司さんの写真とともに掲載しています。

「デリー、冬の断想」、『VIA MEDIA』明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系、2010年3月、4-16頁。

『VIA MEDIA』の執筆者は、DC系専任・兼任の教員と、ディジタルコンテンツ学研究会の講師でお越しいただいた方が中心です。とても読みやすく、まためずらしい文章が並んでいます。なお当研究室で先頃修了した大塚真弓さんの修士論文の一部を採録しています。装幀と本文組版はこの4月から博士後期課程1期生でグラフィック・デザイナーの清岡秀哉さん。

以下が目次です。

表紙写真 北島敬三
Via Mediaについて 管啓次郎
デリー、冬の断想 倉石信乃(写真・宮本隆司)
アキハバラと麻布市兵衛町 陣野俊史
歌う人と踊る人 前田圭蔵
重なり合う境界 御園生涼子
うぬぼれ鏡のメディア論 波戸岡景太
コンピュータでエッシャーを超えられるか 杉原厚吉
「四次元のゲームメディア」を考える 宮下芳明
カムイのイォルを幻視する 浜口稔
ことばについて 石田尚志
荒木経惟試論「空」 大塚真弓
ヴェルナー・ヘルツォークと動物 管啓次郎
デザイン・ノート 清岡秀哉

Thursday, March 25, 2010

今日の写真2010 第4回

「今日の写真2010」、『アサヒカメラ』2010年4月号(209-213頁)。第4回目のゲストはアートディレクターの町口覚さん。町口さんの装幀したものを中心に、北野謙、野村佐紀子、佐内正史、渡辺洋一、花代、山中学、ヴィム・ヴェンダース、ロバート・フランクの写真集が話題に。

Wednesday, March 10, 2010

書評 Robert Frank: 81 Contact Sheets

日本の写真集もよく紹介されるJeffrey Ladd氏による写真集ブログに、
Robert Frank: 81 Contact Sheetsの書評が掲載されました。

http://5b4.blogspot.com/2010/03/robert-frank-81-contact-sheets.htm