Thursday, April 10, 2008

太田省吾の仕事−未来への応答

現在発売中の『舞台芸術』(特集=太田省吾の仕事−未来への応答)第13号に、「失楽園再訪−太田省吾『乗合自動車の上の九つの情景』を読む」(62-72頁)を寄稿しました。昨年亡くなった劇作家・演出家の太田省吾の「戯曲」のなかでも、最初期の作品について書いたものです。「乗合自動車の上の九つの情景」は、後にユニークな「沈黙劇」を作っていった太田省吾の原点の一つに、折しも返還直前の「沖縄」への強い想いがあったことを示す作品です。
私が継続的に近年、演劇のカンパニーARICAで上演のためのテクストを書いているきっかけには、80年代に集中して見た太田省吾率いる転形劇場の作品から受けた強い衝撃があります。当時のいわゆる小劇場ブームにはあまり乗れませんでしたが、太田省吾と転形劇場の素晴らしい役者たちの作り上げる舞台には、演劇は苦手なはずなのに実際のめり込んでいきました。今回彼の演劇論集をまとめて読んでみて、極めてポレミックなことに驚きました。