Thursday, June 12, 2008

VACANT LAND 1989

昨年刊行された写真集の中で最も忘れがたいものは、浜昇『VACANT LAND 1989』(photographers' gallery刊)だ。もし見ていない方は、その途方もない重量をぜひ一度手に取って、およそ1000頁にもなる風景の1頁づつを繰る経験をして欲しいと思う。
このシリーズによる個展が昨日から始まった。以下は会場の銀座ニコンサロンのHPからの転載。

浜 昇展
[VACANT LAND 1989]
銀座ニコンサロン
6/11 (水)〜6/24 (火) 10:00〜19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

1985年の「プラザ合意」以後急速に膨れあがっていったバブル経済が1989年を頂点に崩壊する。本展はその前後3年にわたって東京の神田・四谷・新宿の「空地」を記録したものである。
狂乱する地価の高騰に乱舞するこの時代を「空地は写真である」と確信した作者は、地図を片手に、ひたすらてくてくと歩き定めた地域の全ての「空地」を撮影し、その場所を記録した。これらは『VACANT LAND 1989』として写真集にまとめ、刊行した。
お金(資本)のゲームに興じた時代も、その崩壊から20年余りが経ったいま、ノスタルジックに語られる過去となりつつあるが、バブルとその崩壊がもたらした社会の大きな変容は今もってグローバルな市場原理を加速度的に推し進めており、そんななか、「写真とは何か」もまた問われているようだ。

<作者のプロフィール>
浜 昇(ハマ ノボル)
1946年東京生まれ。75年ワークショップ東松照明教室入塾。76年自主ギャラリーPUT設立に参加。87年写真公園林設立。
写真展に、77年「今日の写真展・77」(神奈川県民ギャラリー)、79年「ぬじゅんin 沖縄・大和」(那覇ダイナハ)、95年、戦後50年展「GROUND 0」(沖縄県民ギャラリー)、2002年、琉球烈像展「沖縄という名」、07年「写真0年・沖縄」(以上、那覇市民ギャラリー)などがあり、写真集に、『フロムスクラッチ』(90年刊)、『VACANT LAND 1989』(2007年刊)などがある。

http://www.nikon-image.com/jpn/activity/salon/exhibition/2008/06_ginza-1.htm