現在長野県立美術館では「北島敬三展 借りた場所、借りた時間」が開催中です(1月18日まで)。北島さんの半世紀に及ぶキャリアの集大成となる回顧展ですが、現在の視点から慎重に選択された極めて今日的な提言ともいえる充実した展観です。しかもすべてを作家まかせにせず、自らの主張をも貫いて北島敬三を「読み返す」とした、担当学芸員・松井正さんの手際も見事です。
関連展示として、同じフォトグラファーズ・ギャラリーのメンバーである岸幸太さん、笹岡啓子さん、篠田優さんによる見応えのある3人展も、同館本館1階交流スペース・オープンギャラリーで開催されています。
私は二つのトークイベントに参加しており、去る12月7日(日)の笹岡啓子さん、松井正さんとのトークを終えたところです。来年1月11日(日)には、北島さん、青森県立美術館学芸員高橋しげみさん、松井さんとの2回目のトークにも参加します。
https://nagano.art.museum/event/keizo-kitajima-borrowed-place-borrowed-time_event6
展覧会では大部の図録が刊行されており、風景の連作について寄稿しました。
「風景の役目—〈Untitled Records〉」、松井正ほか編『北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間 カタログ』PCT、2025年、289-295頁。【英訳:"Roles of Landscape: Toward Untitled Records", translated by Mutsuko Murakami, in Keizo Kitajima: Borrowed place, borrowed time, edited by Tadashi Matsui, et. al.(exhibition catalogue)(PCT: Tokyo, 2025) , 296-304.】
