Friday, December 19, 2025

『孤島論』評 図書新聞3716号

 『孤島論』について、『図書新聞』2025年12月20日号(3716号)の「2025年下半期読書アンケート」の中で、新城郁夫さんに取り上げていただきました。「……孤島のただなかになお見えない島々があって浮き沈みつつ隠れ潜んでいること。そうした生を匿う島々の遍在を予感させて……島々を再発見していく」。とても励まされる評でした。

Monday, December 15, 2025

Keiko Sasaoka: Presence

 

笹岡啓子さんの20余年におよぶ自然への探求を集成した写真集がロサンゼルスのLittle Big Man Booksより刊行されました。気象と地勢の豊かな現前とともにある、風景の拡張する全体を見事に写しとめた写真集です。以下の文章を寄稿しています。

「風景と行人」、笹岡啓子『Presence』Little Big Man Books、2025年、216-224頁。

Shino Kuraishi, "Landscapes and Wayfarers",  translated by John Junkerman, in Keiko Sasaoka, Presence(Little Big Man Books, 2025), 206-215.

刊行を記念した展覧会が、新宿のphotographers' galleryで12月17日(水)より開催されます。https://pg-web.net/exhibition/keiko-sasaoka-presence/

Wednesday, December 10, 2025

「北島敬三 写真展 借りた場所、借りた時間」長野県立美術館

 


現在長野県立美術館では「北島敬三展 借りた場所、借りた時間」が開催中です(1月18日まで)。北島さんの半世紀に及ぶキャリアの集大成となる回顧展ですが、現在の視点から慎重に選択された極めて今日的な提言ともいえる充実した展観です。しかもすべてを作家まかせにせず、自らの主張をも貫いて北島敬三を「読み返す」とした、担当学芸員・松井正さんの手際も見事です。

https://nagano.art.museum

関連展示として、同じフォトグラファーズ・ギャラリーのメンバーである岸幸太さん、笹岡啓子さん、篠田優さんによる見応えのある3人展も、同館本館1階交流スペース・オープンギャラリーで開催されています。

私は二つのトークイベントに参加しており、去る12月7日(日)の笹岡啓子さん、松井正さんとのトークを終えたところです。来年1月11日(日)には、北島さん、青森県立美術館学芸員高橋しげみさん、松井さんとの2回目のトークにも参加します。

https://nagano.art.museum/event/keizo-kitajima-borrowed-place-borrowed-time_event6  

展覧会では大部の図録が刊行されており、風景の連作について寄稿しました。

「風景の役目—〈Untitled Records〉」、松井正ほか編『北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間 カタログ』PCT、2025年、289-295頁。【英訳:"Roles of Landscape: Toward Untitled Records", translated by Mutsuko Murakami, in Keizo Kitajima: Borrowed place, borrowed time, edited by Tadashi Matsui, et. al.(exhibition catalogue)(PCT: Tokyo, 2025) , 296-304.】



Tuesday, December 2, 2025

『孤島論』書評 東奥日報

本日12月2日の東奥日報朝刊に、青森県立美術館の高橋しげみ さんによる『孤島論』書評が掲載されました。この本から、「「島」はその場所を生き抜こうとする人がいる限り、豊かな「中心」であり続ける」という「希望」の側面を引き出す、とてもありがたい評でした。

Sunday, October 12, 2025

北島敬三『USSR 1991 』[新版]

 

北島敬三『USSR 1991』[新版]が刊行されます。ソ連崩壊の年に『アサヒグラフ』のために長期取材した記録に、1983、84年の東欧の写真を加えた新版です。さらにソ連のパートには写真家による個々の写真へのキャプション、東欧のパートには「追想」と題されたエッセーが収載されています。私も一文を寄せています。

「個と差異の散らばり」、北島敬三『USSR 1991』[新版]PCT、2025年10月、頁番号なし。【英訳:"Scattered Individuals and Differences," translated by Robert Zetzsche, in Keizo Kitajima, USSR 1991, New Edition(PCT: Tokyo, 2025), n. p.】

https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=5952

Sunday, September 21, 2025

著者インタビュー アートコレクターズ

 

『アートコレクターズ』8月号に『孤島論』の著者インタビューが掲載されました。

「著者インタビュー 倉石信乃『孤島論』」『アートコレクターズ』No.197、2025年8月号、111頁。

https://www.tomosha.com/book/b666437.html

Sunday, September 14, 2025

『孤島論』書評 美術手帖

『美術手帖』2025年10月号に中島水緒さんによる『孤島論』書評が掲載されました(Bookの欄、229頁)。ふだん多くの島々の地理と歴史に囲まれて暮らしていることを、改めて想い起こす評をいただきました。

Wednesday, August 27, 2025

上原沙也加「白い季節」


上原沙也加さんの写真展「白い季節」のトークに上原さん、同展のキュレーター・岡田有美子さんと参加します。9月7日(日)11:00から、場所は、展覧会場の沖縄・宮城島にあるSugarcane Room Gallery + Cafeです。詳しくは以下。ぜひお立ち寄り下さい!

https://sugarcane-room.space/上原沙也加%E3%80%80「白い季節」/ 

https://www.tokyoartbeat.com/events/-/Sayaka-Uehara-In-the-white-season/sugarcane-room-gallery-cafe/2025-09-04



Tuesday, August 26, 2025

紹介 丸川哲史・岩野卓司編『野生の教養Ⅱ 一人に一つのカオスがある』

 

明治大学教養デザイン研究科のサイトにある「教養デザイン ブック・レビュー」に、『野生の教養Ⅱ 一人に一つのカオスがある』の紹介文を書きました。本書は同研究科の教員の方々が「カオス」をテーマに文章を寄せた論集です。ちなみに表紙の木版画は丸川哲史さん作。

https://www.meiji.ac.jp/humanity/bookreview/15_yaseinokyouyou2_book.html?channel=main 


Monday, August 25, 2025

『孤島論』書評 図書新聞

最新の『図書新聞』(8月30日付)に、 高橋世織さんによる『孤島論』書評が掲載されました。写真と島の形状のアナロジーについての指摘を、掬いとっていただきました。

https://toshoshimbun.com


Wednesday, August 13, 2025

『孤島論』書評 琉球新報

 8月10日(日)『琉球新報』読書面に仲里効さんによる『孤島論』の書評が掲載されました。琉球新報デジタルにも掲載されています。たいへんありがたいご高評です。

https://ryukyushimpo.jp/news/culture/entry-4533965.html 


Friday, August 8, 2025

立原道造の詩に

 

昨年の四季派学会における講演録が同学会の論集に収載されました。

「立原道造の詩における指示代名詞とイメージの生成について」『四季派学会論集』第29集、2025年3月、1-20頁。

https://shikiha.webnode.jp/news/四季派学会論集-第二十九集/

以下に原稿の誤りを訂正します。

1頁:誤 立原道造の生誕一〇〇年という……→正 立原道造の生誕一一〇年という……

以 上



Monday, July 28, 2025

『孤島論』 書評のいくつか

 『孤島論』について、新聞・雑誌にいくつかの書評などが出ました。数多くの書物の中からこの本を取り上げて書評を書いて下さった鷹野隆大さん、古川真人さん、奥野克巳さんにたいへん感謝しています。以下に出版元であるインスクリプト の中の人よりツィートされたものを付します。

鷹野隆大「「孤島を忘却から救うために 写真から物語を読み、写真により"現在"を届ける」『週刊読書人』7月25日号 https://x.com/INSCRIPT10/status/1948999843638075700

古川真人「隔てられた土地の相貌」『西日本新聞』7月26日付https://x.com/INSCRIPT10/status/1949398498916593705

奥野克巳「置き去りの記憶を発掘」『読売新聞』7月27日付https://x.com/INSCRIPT10/status/1949398633658663393

『図書新聞』の上半期読書アンケートに柿木伸之さんが挙げて下さいました。ありがとうございます。https://x.com/INSCRIPT10/status/1946423786091549010

この他、東京新聞の特選欄でもご紹介いただきました。https://x.com/INSCRIPT10/status/1945366885182398800




Monday, June 30, 2025

明治大学理工学研究科総合芸術系シンポジウム—『孤島論』をめぐって



 7月11日(金)19:00〜21:00、明治大学駿河台キャンパスリバティタワー1021教室にて、拙著『孤島論』をめぐるシンポジウムが開催されます。一般の方も登録不要でご参加いただけます。

特別ゲストとして、青山学院大学の結城正美さん、立教大学の奥野克巳さんが登壇されます。また総合芸術系の同僚、清岡智比古さん、鞍田崇さん、管啓次郎さん、原瑠美さん、山本洋平さんにもそれぞれ書評に加わっていただきます。

企画して下さった管さんをはじめ同僚のみなさんに感謝するとともに、いつもより発言・応答できるように努めたいと思います。

Thursday, May 29, 2025

鈴木幹雄『命の記憶—沖縄愛楽園1975』

以下の写真集に寄稿しました。

「はじまりの場所」、鈴木幹雄『命の記憶—沖縄愛楽園1975』赤々舎、2025年5月、208-212頁。【英訳:"Places of Departure," Mikio Suzuki, Remembering Lives Lived Wholeheartedly—Okinawa Airakuen 1975(Kyoto: Akaaka Art Publishing, 2025), 228-232. 】

展覧会が沖縄愛楽園のほか、京都で開催中。東京でも近日開催されます。

https://www.piratsuka.com/detail/821640

Monday, May 26, 2025

ARICA新作公演「檜垣女」

 

ARICAの新作公演が今週末5月31日(土)から始まります。ぜひ足をお運び下さい。

詳しくは以下をご覧下さい。

https://www.aricatheatercompany.com/works/486/

Wednesday, May 21, 2025

対談 鷹野隆大さんと

 


今週末、5月24日(土)15:00〜16:30、東京都写真美術館で「鷹野隆大 カスババ—この日常を生きのびるために」展の関連事業で、鷹野さんと対談を行います。当日は展示作品を1点選び、それについて新たに書いたテクストを読み上げる予定です。さらにそれをイメージへと再度差し戻し、再展開させる企てもあるようです。詳しくは以下から。

https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4826.html









Thursday, April 10, 2025

『孤島論』刊行のお知らせ

 

この度『孤島論』をインスクリプトより刊行することになりました。4月22日(火)には書店に並び、インターネットでも購入可能となるとのこと。ぜひお手にとっていただければ幸いです。

https://inscript.co.jp/b1/900997-94-3

単著としては3冊目の論集で、主に論じているのは写真についてですが、文学作品や地誌についての記述も多いものになりました。本書は写真家との対話や実際に同道した旅の経験に支えられています。旅に秀でた写真家たちには全く及びもつきませんが、旅が一つの技術であれば、それをその都度学んでいった軌跡の記録なのかもしれません。もっとも、旅と定住は必ずしも対立するものではないでしょうから、たとえその場を一歩たりとも動けない時にも、他なる場所から物事を考えることができればと思います。


Friday, March 28, 2025

『全身詩人、吉増剛造』出版記念トーク&パフォーマンス

 昨年3月8日に美学校で行われた、『全身詩人、吉増剛造』(林浩平著)出版記念トーク&パフォーマンス第一部が、YouTubeチャンネル「吉増剛造 gozo's DOMUS」にアップされました。

https://www.youtube.com/watch?v=cun8lZRfU7w


Thursday, January 30, 2025

三田文學 特集 吉増剛造


『三田文学』最新号の「特集 吉増剛造」に、以下の文章を寄稿しました。

「擬態と受容」、『三田文學』2025年冬季号、第104巻第160号、2025年2月、124-126頁。

Wednesday, January 22, 2025

怒りを、未来に向けての私を問う激しさを

 ひとつのフレームが、シャッターに置かれた指のわずかな動きが、一瞬の時―世界を凝視し固定(凝結)する、そしてそこに、ゆるぎない世界を、完璧な世界を出現させる。しかし世界はゆるぎないものなのか、それほどに整ったものなのか、心はゆるぎないものなのか、確信に満ちたものなのか、いやそうではない。世界は安定などせず、いくつもの対立さえする層をもった複合的な、相反する価値と判断の結合を含んだやわらかな不定の存在なのだ、そして心もまた、あまりに曖昧なとりとめのないものではないか。あるいは展覧会の後半は、その甘美な写真の魅力の虜となることへの拒否という思いがあったのではないだろうか。世界の、複合的な構造には複合的な視線(視点)を、組み合わせていく。いくつもの異なった断片(イマージュ)を寄せ集め重ねていく、いくつもの異なった手法と技術を重ねていく、写真の配列を変え、ことばやスクラッチといった異物を加え、時間を混乱させ、放り出す。この展覧の後半の作品たちは、あまりに前半と趣を異にしている。そして、現在という時点での重要度は、あきらかに後半の作品群にあるだろう。

 ……すでに、過去ではなく問題は現在であり、これからの明日の時間なのである。ひとつの視点から世界を統合的に語りうるものとして、ロマンチックにさえ語りうるというところから、いくつもの視点の間でさまようこと、多次元的な時間の導入、統合されていく時間と空間、重ね合わされ、対立を作り出され、隠され、そして傷つけられ、消えるにまかされていく映像たち、みることにおいて、観賞という受動的な立場は奪われ、観客はそこ(イマージュ)に溺れることを拒否されていく。込められるメッセージは、ふたたび攻撃的なものとなり、世界の不条理に向けての絶え間ざる抗議、怒りを、未来に向けての私を問う激しさを蘇らせてくる。ふたたび、みたび、私を問うことがはじまり、過去が美しさに彩られていくことへの怒りと悲しみが、そこには溢れている。

谷口雅「ロバート・フランク――ムーヴィング・アウト」展評・抄、1995年

Sunday, January 19, 2025

ヴァナキュラーとオリジナリティ

 


2月5日(水)18:00〜20:00、恵比寿の日仏会館で行われる恵比寿映像祭シンポジウム「ヴァナキュラーとオリジナリティ」に橋本一径さん(早稲田大学)、川出良枝さん(東京大学)、田坂博子さん(東京都写真美術館)と参加します。

https://www.fmfj.or.jp/events/20250205.html