Thursday, December 17, 2015

photographers' gallery press no.13

発売中のphotographers' gallery press 最新号に寄稿しました。

「似島の位置」『photographers' gallery press no.13』photographers' gallery、2015年、39-57頁。

小原真史さんをホストとする増山たづ子をめぐる二つの鼎談、鵜飼哲さんの土葬と火葬についての講演録、橋本一径さんの三脚写真論までを読了、いずれも感銘を受けました。
http://pg-web.net/shop/pg-press-file/photographers-gallery-press-no-13/

拙稿中、冒頭に引いた林春信の詩について、以下は漢籍に詳しい碩学の同僚、清水則夫さんから教わったこと(メモ)。

春信は通常林梅洞の号で知られる早世した儒者で、林羅山の孫。「箕島」の詩は、詩集『梅洞先生詩続集』巻十八にあり、本書では第二句は「孤島迢迢」と記されていた。それが『芸藩通志』に到り「退退」と誤記され、近代に踏襲されたらしい。「箕島」は中国の名山「箕山」に通じ、「迢迢」はそれが高く抜きんでたさまの形容ととるべき。『梅洞先生詩続集』はディジタルコンテンツ化されている。
http://base1.nijl.ac.jp/iview/Frame.jsp?DB_ID=G0003917KTM&C_CODE=0358-21802&IMG_SIZE=600%2C400&IMG_NO=727

梅洞先生の目には、あのように小さな山/島が他を圧倒して高く聳え立つ険峻な山容に映じた、少なくともそのような想像力を発動させる力があの山/島のかたちにあったということか。形の力、文化的なフレームの力。