Wednesday, June 30, 2010

建築写真を拡張するために


日本建築学会の発行する『建築雑誌』最新号(特集 建築写真小史−建築写真を拡張するために)に寄稿しました。

「曖昧と極端−建築=写真ノート2010」、『建築雑誌』第125集・第1606号、2010年7月号、23、27頁。

中谷礼仁編集長によれば、同誌では1979年10月号久々の建築写真特集とのこと。表紙の渡辺義雄撮影の伊勢神宮が懐かしい。1991年、横浜美術館で渡辺さんの個展を急遽担当することになったのを思い出す。この年は以下の三つの展覧会に関わっていた。

*1991年4月6日(土曜)から5月8日(水曜)
生誕100年記念 マン・レイ展 自由なる美の冒険者
開催日数 28日 入場者数 36,773人

*1991年5月18日(土曜)から6月23日(日曜)
平成2年度文化功労者・記念 渡辺義雄写真展
開催日数 32日 入場者数 26,770人

*1991年10月13日(日曜)から12月15日(日曜)
セルフ1961-1991 ルーカス・サマラス展
開催日数 52日 入場者数 29,778人

http://www.yaf.or.jp/yma/archive/1181991/

Tuesday, June 29, 2010

骨にさわる


先週6月23日(水)24日(木)に沖縄を訪れた。23日は慰霊の日。17:30〜21:00、県立博物館・美術館で行われた「65年目の沖縄戦『骨からの戦世』」シンポジウムを聴く。「第1部:現場から」では、沖縄戦の戦死者の遺骨を収集するNPO「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏の講演。および昨夏から今春にかけて浦添市前田と那覇市真嘉比・西原で新たに発見された、100体を超える日本兵の遺骨を撮影した写真家・比嘉豊光氏の写真とビデオ作品を上映。激しくピントの外れるビデオカメラが捉えた、具志堅氏が頭蓋骨を洗っているうちにミイラ化した脳がこぼれ落ちてくるシークエンス、たぶん骨のさわり方(とカメラでのとらえ方)に感動。
「第2部:「骨のメッセージ」を考える」では比嘉氏に加え、詩人の高良勉氏、考古学者の安里進氏、沖縄現代史研究の豊見城和美氏、詩人・小説家の大城貞俊氏も加わったトークセッション。安里氏の提唱する遺骨を文化財とみなすことで発掘を公共事業化するプランなど、現実的な議論も多く勉強になった。
翌日、佐喜眞美術館で石内都展とその屋上から普天間基地の一部を見る。凪のようで恐ろしい時間。那覇に戻り激しい雨の中、宗元寺、天久宮と聖現寺、波上宮を回った。

Monday, June 28, 2010

いま、アイヌ文化を生きる


Gallery ZEROで今週末から開催される展覧会のお知らせです。
総合文化教室の同僚で図書館副館長、浜口稔さんの企画で、会期中カムイノミも行われます。

「いま、アイヌ文化を生きる」
アイヌモシリへの祈りと共生の思想を、祭具、民具、衣装、手工芸品、写真、カムイノミ、楽器(トンコリ、ムックリ)、歌(ウボボ)、古式舞踊(リムセ)に乗せておくる先住民族アイヌからのメッセージ

会期:2010年7月2日(金)〜7月26日(月)
開館時間:平日9:00〜19:00  土9:00〜18:30 日祝10:00〜16:30
会場:明治大学生田図書館Gallery ZERO
川崎市多摩区東三田1-1-1 phone 044-934-7945
小田急線生田下車、南口徒歩10分
主催 明治大学理工学部総合文化教室浜口研究室

カムイノミ&古式舞踊(図書館脇林地)
7月13日(火)10:30〜
アイヌ音楽&トーク(Gallery ZERO)
同日12:00〜
出演:星野工 居壁太 平田幸 工藤千秋 工藤真由美 近藤美奈子(関東在住アイヌの方々、他)

Sunday, June 27, 2010

ImaginAsia(想像亜洲)国際ワークショップ作品発表会!


明治大学大学院新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系では台湾の国立政治大学コミュニケーション学部と映像制作の国際ワークショップを進行中です。6月初めの台北での制作に続き,今月末には東京での制作を実施。

その最終発表会を以下のように開催いたします。

日時 6月30日(水)14:30~17:50
場所 駿河台キャンパス アカデミーコモン2階 A4・5会議室
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html
主催 明治大学大学院新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系

両大学院生による混成グループ,6グループがそれぞれの作品のプレゼンテーションを行います。どうぞご覧ください。

Friday, June 25, 2010

The Americans再考@慶応義塾大学

日本アメリカ文学会東京支部例会「演劇・表象」分科会でロバート・フランクについての発表を行うことになりました。

2010年6月26日(土)16:00〜17:00(質疑応答を含む)
慶應義塾大学 三田キャンパス  
西校舎2階521番教室

The Americans 再考――ロバート・フランクへのインタヴューに拠って

倉石信乃 (明治大学)

<発表要旨>
昨年(2009年)ワシントン・ナショナル・ギャラリーで開催された回顧展「Looking In:Robert Frank's The Americans」は、写真家・映画作家のロバート・フランク(1924年生まれ)のモニュメンタルな写真集The Americansのアメリカでの出版から数えて50周年を祝う企画であったが、特に試作のプリント、コンタクト・プリントなど、写真集へと結実するまでのプロセスに焦点が当てられたことに注目が集まった。
私は、「Looking In」展開催に併せて日本の出版社・邑元舎から刊行された限定版の写真集『The Americans, 81 Contact Sheets』(2009年)に収録するため、作家本人へのインタヴューを行なう機会を得た。本発表では、このインタヴューにおいて語られたフランク自身の回想に基づきながら、「Looking In」展の成果の一部を参照しつつ、The Americansの制作を通して作者の見つめたアメリカ社会と写真表現について再考する。またThe Americansの出版直後に、映画制作へと向かった展開についても、映像資料などを交えて言及する。

Saturday, June 19, 2010

今日の写真2010、第7回

「今日の写真2010」、『アサヒカメラ』2010年7月号(199-203頁)。第7回目のゲストは写真家の鷹野隆大さん。鷹野さんの写真「ワールドカップ」とサッカー文化、古屋誠一、フェリックス・ティオリエ、「侍と私」展、樋貝吉郎、川島小鳥などが話題に。今月号の特集「いま、目が離せないワークショップの世界」では、瀬戸正人、金村修、ホンマタカシ各氏のワークショッブ紹介と、鈴木理策・MOTOKO両氏の対談が掲載。

Wednesday, June 16, 2010

ディジタルコンテンツ系進学説明会


今週の金曜日、6月18日に、ディジタルコンテンツ系の大学院進学説明会を開催します。

生田地区:12時10分〜50分、中央校舎0303教室。
駿河台地区: 18時〜19時、リバティタワー1064教室。

http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/1275380687.pdf

管、宮下、福地、倉石の四つの研究室ごとに紹介します。ただし宮下研究室の紹介は生田地区のみで実施。
当日は、個別の進学相談も受け付けます。ぜひご参加下さい! 

Thursday, June 10, 2010

スナップショット−写真の輝き 本日配本

久しぶりの単著を出すことになりました。本日配本で、書店にならんで姿をあらわすのは週末以降です。

『スナップショット−写真の輝き』大修館書店、2010年。

定価2200円+税で、気軽に手にとっていただきやすい価格と体裁になっているかと思います。写真をご提供いただいた方々のご協力と、編集を担当された大修館書店の正木千恵さんのご尽力のおかけです。ありがとうございました!

http://plaza.taishukan.co.jp/shop/Product/Detail/30581
http://www.bk1.jp/product/03270240

収録される文章は次の通りです。

監視とスナップショット
彼女のワンピース 被爆資料と写真の現在
遭遇の技術 北島敬三のスナップショット
彼女あるいは私の分身 石内都『Mother's』
実家、あるいは表象のステージ 安村崇『日常らしさ』
群衆はみえない 土田ヒロミ『新・砂を数える』
すべての/ひとつのポジション 「日本の写真におけるさまざまな位置」展への感想
Ruin/Desolation Row 廃墟と写真をめぐって
ネガの手の叫びのために 石川直樹『NEW DIMENSION』
写真のシアトリカリティ
写真史へのコメント
監視の現在+ウォーカー・エヴァンズの「超越」

Wednesday, June 9, 2010

先週の台北

5月31日(月)〜6月5日(土)、国立政治大学伝播学院数位内容学科との国際共同ワークショップImaginAsiaの参加のために台北へ。当ディジタルコンテンツ系の同僚、管啓次郎さん、院生13名と。全行程は以下のとおりです。

http://excellence.comm.nccu.edu.tw/01_news_detail.php?sn=195

すでに管さんからいつもながら的確に速報されています。

http://monpaysnatal.blogspot.com/2010/06/blog-post_04.html

旧台湾神社へ至るかつての参道である中山北路を当地の建築家・研究者のガイドに拠って、ゆっくり歩いた経験は得難いものでした。院生たちの映像制作のワークショップは、この一本道を基軸とする「地図」と歩行経験を手がかりに行われました。

旅程の間はほぼ雨降りで映画を観るには最高の街のコンディション。ホウ・シャオシェンが理事長を務める映画館+ギャラリー、カフェの台北光點(SPOT)を訪れ、久しぶりに劇場で映画を観る。Stéphane Brizé監督のMademoiselle Chambonというベタなメロドラマ。息子との小学校の担任教師と恋に落ちる、労働者階級の男の話。クライマックスでは駅で待つ女教師と、駆け落ちをしようとする寸前で思いとどまり帰宅する、みたいな紋切り型の展開に、とても2009年製作の映画とは思えない。一方、作画的な洗練ぶりと役者たちの演技の技巧や情熱が生み出す凄まじいリアリティは、その説話論的な形骸とあまりに釣り合わない。もしくはメロドラマの自己目的化か。むかし観たAndré Téchiné監督のHôtel des Amériques(1981)を思い出した。絶対に傑作ではありえないがなぜか忘れることのできない類の映画。キーはたぶん役者の演技の異様な強度。Hôtel des Amériquesは、完成後ほどなく主演男優の自死した不幸な映画、そして(私には)Catherine Deneuveの出演した最良の映画。

Wednesday, June 2, 2010

古屋誠一メモワール.展 トークイベント

今週末、6月5日(土)18:30~20:00、東京都写真美術館で荒木経惟さん、笠原美智子さんとトークイベントに参加することになりました。

http://syabi.com/contents/exhibition/index-18.html

以下は写真美術館のHPからの転載です。

古屋誠一メモワール.「愛の復讐、共に離れて・・・」
会 期: 2010年5月15日 ( 土 ) ~ 7月19日 ( 月・祝 )
会 場:東京都写真美術館
休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
料 金:一般 800(640)円/学生 700(560)円/中高生・65歳以上 600(480)円
( )は20名以上団体および東京都写真美術館友の会、上記カード会員割引/小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料

トークイベント
2010年6月5日(土) 18:30~20:00  ゲスト:荒木経惟、倉石信乃
会場:東京都写真美術館 1階ホール(定員190 名)
※両日共に当日朝10時より1階受付にて本展覧会チケットをお持ちの方に整理券を配布します。先着順、番号順入場、自由席

○ゲスト:荒木経惟 (写真家)、倉石信乃 (明治大学大学院准教授/近現代美術史・写真史)
日時:6月5日(土)18:30~20:00
テーマ「愛の復讐、共に離れて…」
司会進行:笠原美智子(東京都写真美術館 事業企画課長)
「センチメンタルな旅」等、妻のポートレートでも知られる荒木経惟氏が語る古屋誠一作品とは?
古屋氏はかつて荒木氏の展覧会をヨーロッパで企画する等、80年代から交流があります。
今回はスペシャルゲストに倉石信乃氏を迎え、古屋作品を初期から知る写真家と批評家の視点からも、古屋作品の魅力を追究します。

※古屋誠一氏は体調不良により来日を見合わせることになりました。
当初予定していた対談イベントは、ゲストによるトークイベントとして開催いたします。
あらかじめご了承いただきますようお願いいたします。